第6話 RACE RESULT12 計測体験レポート|サイクリングイベントディレクターへの道 番外編(2)

  1. はじめに
  2. RACE RESULT12(レースリザルト)とは
  3. メイン会場に集合
  4. 1stステージのFinishライン設置と計測機材の設定
  5. 道路封鎖とともに1stステージ計測開始!
  6. トラブル発生!
  7. 2ndステージのFinishライン設置から撤収まで

はじめに

前回の前回の泉ヶ岳の記事更新から間が空いていますが、今回も番外編です。
LinkTOHOKUさんのご厚意で、2021年10月10日 (日) に福島県田村市で開催されたあぶくま洞ヒルクライムのFinish地点でRACE RESULT12という計測システムを使用した現場を体験する機会があったので行って来ました。その時のレポートを書きます。

RACE RESULT12(レースリザルト)とは

RACE RESULT12は、ドイツにあるRACERESULT社で開発された計測システムで、ヒルクライムやクリテリウム、周回レースなどのロードレース(自転車競技)以外にも、マラソンやトレイルラン、トライアスロン、他にも様々な競技のタイム計測に使えます。
カーレースでも使えるそうです。自動車だと結構なスピードが出てると思うのですが、その速度域でも計測できるのはスゴいですね!
ロードバイクの場合は、アクティブタグと呼ばれる赤いICチップ(精度が高いICタグ)をフロントフォークにタイラップで固定してからレースに参加します。このアクティブタグには電池が内蔵されていて繰り返し使用できるタイプなので、競技終了後にFinish地点などで取り外して返却しましょう。(このチップは紛失しないように。結構いい値段します)
この計測チップ以外にも、使い切りタイプのICタグもあり、回収作業が不要になるので便利なのですが アクティブタグと比較すると高い速度域で計測できない場合があるそうなので、使い切りタイプはマラソンなどのラン系イベントで使うのが良いかも。

このRACE RESULT12は計測する装置はモチロンですが、タイムを集計するソフトウェアがよく出来ていて、タイムや順位を選手がスマートフォンやパソコンから確認できたり、自分の賞状や完走証がPDF形式で出力できます。
各選手にチーム名を登録してチーム単位での順位も出せるので、チーム戦を計測するのも面白そう。

メイン会場に集合

朝6時近く、あぶくま洞 第3駐車場に到着。現地は霧が少し出ていました。
受付は6:30からですが、駐車場で参加者の方たちがアップや準備を始めているかたも。
メイン会場に居た代表に挨拶を済ませて、必要機材を車に積んだ計測担当スタッフの車と一緒にFinish地点の仙台平(せんだいひら)に移動しました。当日の作業は、1stステージと2ndステージのFinish地点設置と実際にRACE RESULT12を使った計測作業。

1stステージのFinishライン設置と計測機材の設定

Finish地点付近の仙台平(せんだいひら)駐車場に到着。車から計測器などの機材を降ろして設置開始です。

以下のものを設置していきます(リストは一部)

  • 組み立て式のテーブル、椅子、電源
  • ノートPCなどインターネットに接続するための機材
  • 三脚とFinish地点を動画で撮影するビデオカメラ
  • 計測器本体や各種ケーブル類

まず(写真にはありませんが)テーブルと椅子を設置してノートパソコンなどを置いたら、タイム計測用のアンテナと緑色のマットを敷きます。
マットが敷き終わったら「Finishiバナー」をマットの左右に設置。

このマットの上をロードバイクに取り付けられたアクティブタグ(赤いICチップ)が通過すると、アンテナが反応してRACE RESULT12にタイムが記録される仕組み。

この日はバナー、スタンド、ウェイトが一式駐車場内に用意されていたものを組み立てました。
(レースによっては車に積んでいたものを降ろして組み立てる)

Finishバナーは、四隅にハトメが付いていて、スタンドのフックを引っ掛けて固定。重り(ウェイト)にスタンドを固定する事で風に煽られても倒れにくくなります。

計測機器の電源を入れて、マットの下に敷いたアンテナと接続。本体の設定確認と、アンテナの感度調整などを進めます。
(写真は接続途中で配線がゴチャゴチャしていますが、細かい接続手順は割愛。要望があれば追記します)
設定できたら「テスト専用チップ」を使ってFinishラインを通過させて、チップが反応するかを見ます。
合わせてノートPCから反応したチップのデータが正常に取れているかも確認。
チップの通過は問題なさそうなので、今回使用するRACE RESULT12のイベントデータの設定も一通り見て、設定値の調整が必要であれば、その場で調整していきます。

計測機器の設定が終わったら、Finishラインを通過する選手のゼッケンを撮影するために、ビデオカメラなどの動画が撮影できる機器を設置。

今回はタブレット端末を使って動画撮影。撮影する理由は、万が一計測された結果に問題があった場合、この動画などが検証材料になります。
背中についているゼッケンを撮影したいので、選手の後ろ側が見える位置に三脚を設置して位置を調整。

設置している間も、何人かの選手が試走でFinish地点までロードバイクで登ってきていました。10人くらいは来たかな。

道路封鎖とともに1stステージ計測開始!

Finish地点の準備が完了したら本部とやりとりをして、GOサインが出たら設置した計測機器に付いている「スタートボタン」を押して計測をスタートさせます。同時に動画の録画も開始。

ここからは選手が登ってくるのを待って、選手がFinish地点を通過する毎に通過した選手のゼッケンとRACE RESULT12に記録されたデータが同じか確認する作業をするのですが、これ以外にも道路封鎖が始まったら、人や車が選手が登ってくる方向に侵入しないよう、データを見つつ周囲にも気を配る必要があります。

警察による道路封鎖前に、朝早く登山に来た方や選手の応援で駐車場まで来ている方が結構いて、選手を見ても問題ない場所や車を出してもいい時間など時々こちらに質問に来たりしていたのですが、スタッフのかたは丁寧に対応されていました。
計測作業中に人の対応しているとゼッケンの確認など時々間に合わない場面が発生しそうなので、この辺は臨機応変に対応しないといけないですね。
最後尾の選手が通過したら、1stステージの計測と、動画の録画を止めます。

トラブル発生!

本部から連絡があり、家族数名で参加された方たちが間違って家族間で異なるチップをロードバイクに付けてしまったらしく、カテゴリが異なったり、出走時間が違う理由で計測結果が正確ではない状態になってしまっていました。

この時は1stステージ終了後、その場でスタッフさんがノートパソコンからRACE RESULT12のデータ修正対応をされていましたが、この辺はRACE RESULT12のシステムをちゃんと理解できていないと素早い対応が出来ない...。
筆者は事前にある程度は知識を入れてから行ったのですが、正直この辺の対応方法がわからなかった。

このようなトラブル以外にも、他のレースの時はチップを付け忘れてスタートした選手が居たり、落車などでゼッケンが破れてしまったため確認できなかったりと、実際の現場は想像できないような様々なトラブルが何かしら発生するそうです。
それらを如何に素早く対処できるかが求められます。

2ndステージのFinishライン設置から撤収まで

1stステージ終了後、駐車場で待機していた参加選手たちが全員2ndステージのスタート地点まで移動していくのを確認したら、その間に2ndステージのFinish地点の設置を進めます。2ndステージ開始まで1時間ないので時間との戦いになってきます。
準備ができたら2ndステージ計測開始!

2ndステージでも、最後尾の選手がFinish地点を通過を確認した事を確認した後に録画とRACE RESULT12の計測を停止。
警察が状況を確認した後、道路封鎖が解除されます。

計測終了後、選手たちはメイン会場に移動しますが、筆者はFinish地点の撤収を開始。
メイン会場では表彰式の準備が進んでいて、計測されたデータをもとに各クラス入賞者の賞状が作成され、ステージに上がった選手に手渡されます。今回は落車などでケガをしたかたは居なかったので安心しました。

これまではヒルクライムイベントにエントリーして「走る側」だったのですが、 今回Finish地点の計測作業を体験してみて、なかなか見ることの出来ない裏側の大変さや、いい意味での緊張感も体験することができました。
普段経験できる事ではないものばかりで、実際に手を動かしてやってみると、また違った世界を見ることが出来たのは良かったと思っています。

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書いた人:やまライダー

やまライダーは、ロードバイクやミニベロでヒルクライムを楽しんでいる、速くないけど坂を登るのが好きな「 坂バカ系ミニベロヒルクライマー(チャリダー) 」です。
仙台市でシステム寄りのWebディレクター兼ブロガーとして働きながら嫁と一緒に子育て奮闘中!
タスク管理ツール「Todoist」でガントチャートが作成ができる補助ツール「Todoist ガントチャートコンバータ」作者。
鳥が好きでキンカチョウ(錦花鳥)を飼っています。

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